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解説(事業関連):開業までの流れ
1.開業する業種の確認
これからあなたが開業しようと考えているお店の業種は何でしょうか?
例えば、以前勤めていた飲食店で調理師をやっていて、調理師免許は持ってるし、居抜きの店なので食材を揃えたから、明日から営業、というわけにはいきません。飲食店の場合は、保健所に許可を受ける必要があります。
また、スナック、バー、キャバレー等風俗営業法で定められたお店は、営業できる地域が制限されているため注意が必要です。
2.事業計画書の作成
■事業内容
どんな市場(マーケット)・お客に対して、どんな商品・サービスを提供するか?
■市場環境
市場規模、成長性は?
■競合優位性
同じ市場にいる既存店との優位性、差別化ポイントは?立地条件、品質、値段、優位な資格など
■販売戦略
お店のアピール方法、販売・流通網をどうやって築くか?
■経営計画
仕入れ・開発・生産計画、人員・組織計画
■リスクへの対策
想定されるリスクを問題点を抽出し、危険度の分析、対処方法・解決方法を考えておく
■資金計画
収支を予測し、資金繰り、返済計画を作成する
3.資金計画立案
■開業資金(イニシャルコスト)
事務所・店舗取得、改装工事、備品、公告宣伝、初期仕入れ、収入を得るまでの生活費
■運転資金(ランニングコスト)
事務所・店舗維持費、人件費、仕入れ、備品・消耗品・修理費用、交通費・運送費・通信費・交際費・広告宣伝販促費・保険料・税金・リース費用・会費・雑費等、借入金返済、納税、労働社会保険料
4.資金調達
■自己資金の確保
貯金、資産の売却等自己資金の増加を図る
■必要資金の算定
資金計画を元に算定、無理のない資金とするため、設備・事業規模見直し等も考え、必要資金を抑える
■不足資金の調達
融資を受けるか?事業賛同者から出資を受けるか?
■借り入れ先の選択
公的機関(日本政策金融公庫、地方自治体)、民間金融機関(都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合等)
*先に作成した事業計画書が融資審査を受ける際に役立ちます
5.事業形態の選択
個人事業主になるか会社を設立するかを検討・選択します。非常に重要な選択です。
さらに個人でも法人でもない有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)という事業体もあります。
開業資金 | 設立 手続き |
資金調達 | 責任範囲 | 会計 処理 |
税金 | |
個人事業 | 小資金でも可能 | 不要 | 出資不可。日本政策金融公庫などの公的融資機関からの調達可能 | 無制限に追求される | 比較的 簡単 |
所得税 地方税 |
会社 | 最低資本金がないため、小資金でも可能 | やや煩雑だが、自力でも手続き可能 | 出資、融資による調達可能 | 株式会社、合同会社は出資範囲の責任。合名会社社員と合資会社の代表者は無制限に追求される | 複式簿記 複雑 |
法人税 地方税 |
- 始めやすさ、運営しやすさを重視するなら個人事業。事業が軌道に乗ってきたら、会社にするという考え方もあります
- 出資を広く求めたいなら会社
- 民間金融機関(銀行)での融資を受ける際の信用を考えるなら会社
- 税務的な視点で考える(会社設立により消費税が2年間納付不要になる。「収入から費用を控除した所得が少なければ個人の方が税金が安くなる」が「所得が増加すると逆に会社の税金のほうが安くなってしまう」等)
- 社会保険適用の視点で考える(会社設立により健康保険、厚生年金保険強制適用となり、これら社会保険料の納付義務が発生等)
6.事業開始の準備
■オフィス、店舗物件取得
特に店舗物件の場所については、業種によって営業が制限されているエリアがありますので注意しましょう
■店舗の工事
■備品調達
飲食店であれば厨房機器等
■人員計画
■仕入先・外注先確保
■レジシステム導入
飲食店、商品・サービスを店舗販売するお店ではレジシステムの導入、スタッフのオペレーショントレーニングが必要です
■販売促進
営業開始日までに告知宣伝を行います。名刺作成、ビラ作成、HP作成等
7.会社設立(事業形態を会社とする時)
■会社種類の選択
■会社設立
法務局へ会社設立の登記申請をした日が、その会社の設立日となり、登記簿の「会社設立の年月日」欄に記入されます。記念日や月の初め(1日)などを会社設立日としたい場合は、その日に登記申請できるよう逆算して手続きを進める必要があります。なお法務局は土日祝日はお休みのため登記申請できません。
8.許認可申請
業種ごとにその管轄となっている行政機関へ、許認可申請等を行います。
個人事業主から法人成りして会社設立した場合は、会社としてあらためて許認可申請をする必要があります
9.官庁への届出
■税金関係の届出
提出先 | 届出書類 | 届出期限 |
税務署 | 個人事業の開業・廃業等届出書 | 開業日から1ケ月以内 |
所得税の青色申告承認申請書 | 原則として開業日からから2ケ月以内 | |
青色事業専従者給与に関する届出書 | 原則として開業または新たに専従者がいる ことになった日から2ケ月以内 |
|
所得税の棚卸資産の評価方法・ 減価償却棚卸資産の償却方法の届出書 |
開業した日の属する年の翌年3月15日まで | |
給与支払事務所等の開設・移転・ 廃止届出書 |
給与支払事務所になった日から1ケ月以内 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に 関する申請書 |
特例の承認は随時 | |
国税関係帳簿の電磁的記録等による 保存等の承認申請書 |
電子帳簿の備付けを開始する3ケ月前まで | |
都道府県税事務所 | 事業開始・廃止等申告書 | 自治体によって異なる(開業日から1ケ月以内等) |
市区町村役場 | 事業開始・廃止等申告書 | 自治体によって異なる(開業日から1ケ月以内等) |
■国民健康保険・国民年金関係の届出
会社を辞めて個人事業主となる場合、退職前に勤務していた会社の健康保険組合等の被保険者ではなくなり、同じく厚生年金保険の被保険者でもなくなるため、国民健康保険の被保険者および国民年金の第1号被保険者になる必要があります。さらに、配偶者がいる場合も同様な届が必要です(国民年金は第3号から第1号への種別変更)
提出先 | 届出書類 | 届出期限 |
市区町村役場 | 国民健康保険被保険者資格取得届 | 資格を喪失した日(会社を退職した日の翌日) から14日以内 |
国民年金被保険者資格取得届 | 資格を喪失した日(会社を退職した日の翌日) から14日以内 |
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種別変更届(配偶者) | 変更してから14日以内 |
■労働保険・社会保険関係の届出
原則として労働者を1人でも使用する事業は、労働保険(雇用保険、労災保険)の強制適用事業になります。法人の事業所で常時従業員を使用するもの、個人経営の事業所では常時5人以上の従業員を使用するものは、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の強制適用事業所となります。適用事業、適用事業所に該当する場合、それぞれの保険の届出が必要となります。
提出先 | 届出書類 | 届出期限 |
労働基準監督署 | 労働保険保険関係成立届 | 従業員を雇用してから10日以内 |
労働保険概算保険料申告書 | 従業員を雇用してから50日以内 | |
就業規則 | 従業員が10人以上になったら速やかに | |
公共職業安定所 | 雇用保険適用事業所設置届 | 従業員を雇用してから10日以内 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 従業員を雇用した日の翌月10日まで | |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 原則として適用事業所になってから (従業員の数が5人以上になった日から)以内 |
健康保険・厚生年金保険被保険者 資格取得届 |
原則として適用事業所になってから (従業員の数が5人以上になった日から)以内 |
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健康保険被扶養者(異動)届 | 原則として適用事業所になってから (従業員の数が5人以上になった日から)以内 |