公正証書とは 雪渕行政書士事務所

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解説(書類関連):公正証書

公正証書とは

公正証書とは,実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公証人が,お客様(当事者)から伺った内容(契約書等)に法律的な検討を加えて作成した公文書です。
なお、公証人は公証役場に在籍しています。公証人は公正証書の作成だけでなく、以下の仕事も行います。

■認証

「認証」とは、私人が作成した文書について、文書の成立及び作成手続の正当性を証明することです。
会社や法人設立時に作成する定款は公証人の認証が法定要件になっています(必ず認証を受けなければならない)

■確定日付の付与

「確定日付の付与」というのは、私文書に確定日付を付与し、その日にその文書が存在したことを証明するものです。
なお、公正証書を作成する時は本人、または本人の委任状を持った代理人が公証人役場に直接出向きます。ただし、本人が病院入院中等公証人役場に出向けない場合は、公証人が出張してくれます(別途費用)。

文書を公正証書化することのメリット

■証明力

公証人が作成した公正証書は公文書であり、高い証明力を持った文書となります。

■改ざんされるおそれがない

公正証書は原本を原則20年間公証役場で保存します。したがって,公正証書に記載した内容が後で改ざんされたりする心配がありません。また公正証書の控え(正本、謄本)を紛失した場合、公証人役場で原本が保管されているので、いつでもその写し(謄本)を再交付してもらえます。

■裁判所を通さず強制執行手続きができる(債権回収)

一定の金銭を払うことを約束し,その内容が「強制執行認諾文言」という文言とともに公正証書に記載されると,もし約束が守られない場合には金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする契約の場合、裁判所の判決がなくとも,公正証書によって強制執行(差押え)をすることができるという強い効力が与えられています。
なお、強制執行の申立てには、その根拠となる債務名義(執行認諾文言付きの公正証書)を提出しなければなりません。

公正証書でなければならない文書

どのような内容の契約書でも公正証書化することはできますが、公正証書化しなければ有効な契約にならないというわけではありません(契約自由の原則)。

ただし例外として、次の契約書は公正証書化しないと、法的に有効な法律行為として認められません。

  • 任意後見契約(「任意後見契約に関する法律」)
  • 事業用借地権設定契約(「借地借家法」)
  • マンション分譲業者が定める規約設定(「建物の区分所有者等に関する法律」)

契約書の公正証書化

契約書見本で作成した金銭消費貸借契約書を借主の返済がされない時に備えて、強制執行ができる債務名義となる公正証書にする例を紹介します。
なお、すでに金銭を貸し付けてしまって、返済残額があり、将来返済が滞った時のことを考えて、「債務弁済契約公正証書」を作成するという方法もあります。

(1)契約書の作成

第5条「期限の利益の喪失」、第6条「強制執行承諾文言付公正証書とすることの承諾」を追加しています。特に第6条の執行認諾文言とは、「支払いを怠った場合は強制執行されてもかまいません」という取り決めのことで、ここでは最も重要な条項となります。

金銭消費貸借契約書見本

(2)公証人役場(公証役場)へ提出

(1)で作成した金銭消費貸借契約書(押印していないもの)を持って、債権者(貸主)と借主(債務者)で公証人役場へ向かいます。代理人が出向く場合は、委任状を作成(実印で押印したもの)し、委任状の次のページに本契約書をホッチキスで綴り持参します。この際、債権者、債務者の本人確認書類及び印鑑(認印)、委任状をつけた場合はその本人の発行後6ケ月以内の印鑑証明書と代理人の本人確認書類と印鑑を持参します。
なお、代理人は債権者と債務者の双方を代理することはできません(債務者のみ等)。

(3)公証人による公正証書作成、交付

書類に問題がなければ公証人が公正証書を作成します(当日もしくは後日交付)。

作成される公正証書は以下の構成となります。

表紙(タイトル「公正証書」、公証人役場名・住所、在籍している公証人の氏名・電話番号が掲載されている)
契約書条項を公証人が査閲吟味しそのまま、または一部表現等を見なおして記載した本旨
債権者、債務者または代理人の住所・氏名・生年月日の記載
本人確認書類により列席者が人違いでないこと、委任状がある場合は委任状が真正なものであることを証明した旨
列席者に閲覧させ、一同これを承認した旨
列席者の署名押印
本証書が作成された日付、法定の方式に従って公証人役場で作成した旨
作成した公証人役場の住所、公証人の所属の記載に続けて、公証人の署名押印

(4)費用等

公証人手数料(債権額によって変わる。100万円以下で5,000円)と印紙代(債権額によって変わる。1万円未満は非課税)が必要です。

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